仏教界の大事件とまで言われた一冊ですね。
わたしも魚川さんの著作の中では一番初めに読みました。
当時は話題になったこともあって周りのお坊さんもみんな買ってましたよ。
内容は流行とは無縁の読み応えのある一冊ですが。
だからお坊さんでも内容をしっかり読めたひと少ないかもしれません。
ちなみに魚川さんって東大の「印哲」出身ですよね?
東京大学院人文社会系研究科インド哲学・仏教学専攻。
印哲って、いわゆるお坊さんがこの世で一番苦手とする生き物ですよね。
だって知識量は確実に印哲の人たちのほうが多いですから。
専門家として立つ瀬がない気はしますよ。
ガチの修行すらしちゃってるからね。
とかの人多いですからね。
曹洞宗でも一年半だけの人がほとんどじゃないです?
たしかにお坊さんにとっては天敵といっていいかもしれない。
お坊さん以外が書いた仏教書について、
批判的なお坊さんは普段もっと多いはずなんですが、
『ゼロポイント』に関してはほとんど批判的な意見がなかったのも
そのような要素が大きいと思います。
ではどのような内容か、道宣さんちょっとお話してください。
内容は大きく分けると2つ。
①お釈迦さんの悟りは何なのか
②悟った後なぜお釈迦さんは死ななかったのか。
個人的には特に②のテーマが面白かったです。
まぁ、でもそういう側面って実際あるもんね。
詳しくは言いませんが、どういうことか気になる人には読んでいただきたい!
「涅槃」「解脱」なんかをごまかすことなく、
あつかっているのも非常にすばらしいポイントです。
正直に言って私にはここまでしっかり言える気がしない……。
仏教を語ることができる方はなかなかいないでしょう。
仏教って下手なこと言うと、すぐたたかれる話題ですからね(笑)
ポイントといえば、題名の「ゼロポイント」って、
僕の大好きな井筒俊彦さんの『意識と本質』からきているんですよ!
話題の仏教書の中で「意識のゼロポイント」というクリティカルな部分を
しっかり扱ってるのは画期的といっていいと思います。
いわゆる老師の法話や著作でも言われていることは言われているんですが……。
みんな自分流に好き勝手しゃべるからね。
どうしても言葉選びや表現に、かたよりが生まれちゃうんですよね。
色んな本を読めば読むほど、わけが分からなくなってきます。
それか、何となく分かった気になるやつ。
師匠が監督責任をもって指導している環境ならいいのですが
一般的言説として話されると、どうしても理解の仕方に限界がありますよね。
『ゼロポイント』ではお釈迦さんの言葉に最も近いされる
初期の仏典に焦点を当てて意味合いや定義を
はっきりさせながら解説しています。
ということが一番の魅力ですかね。
語れない所は語れない、とハッキリ言いきっているのが爽快です。
どうしても体験が伴わなければ理解不可能な部分が
はっきりと存在することをしっかりご本人が理解されてる。
ホントはこれってお坊さんの仕事なのですが
上で言ったように体験ベースで語ると普通かたよりが生まれちゃう。
まだ語れる所もその一言で片付けちゃうことがこの業界でよくある。
これ言っとけば何とかなる感。
まぁなっちゃうんだけど。
なっちゃうのが問題ですよね。
歳をとって見た目がありがたい感じになると、
この「曰く云い難し」一本で許される文化が確立してます。
でも実際「曰く云いがたし」言われてしまうともうやる気にならないです。
しっかりと実践の必要性を理解させてもらえない。
実際に修行がしたくなる。
ちなみに僕が実際に修行しようと決めた原因の一つです。
それはすばらしい。
これが本来の伝道ですよ。
遊心さんにしてはめずらしい。
「本来の伝道」なんてうさんくさいことば遣いですね。
ほんとのことだし。
お釈迦さんの伝道は「遊び」であったという点であってですね……
それ以上はやめましょう。
詳しくは本書を読んでいただくということで。
たしかに、実際に読んでもらうのが一番です。
内容としては、
基本であり、最も重要なものなので、
これをしっかりと把握しているかどうかで、
仏教の話が通じるかどうか決まります。
この一冊をしっかり読めない方とは…
まともな仏教の話はできませんしね!
よろしくおねがいします!
『仏教思想のゼロポイント』です!