正法眼蔵ってなに?:どう読むか


この記事について

われらが曹洞宗の開祖、道元禅師のスーパー有名著作。

理屈っぽいお坊さんや哲学マニアに大人気の「正法眼蔵」について話しました!

でも正法眼蔵に何が書いてあるかの話はしていません!

むしろ、「仏教しらないよ!」って方に読んでほしいです。

 

道宣
正法眼蔵!?ついに!

どこの巻の話をしますか!?

「山水經」ですか!?

「有時」ですか!?

 
遊心
いえ、落ちついてください。

 

そんなマニアックな話、だれも聞きませんよ。

 
道宣
なんで!?

めちゃめちゃもりあがるよ!

 
遊心
道宣さんがね。

 

「正法眼蔵」について話すの正直嫌なんですけど

 

まぁわたしたちも、いちおう宗門の一徒ですし

曹洞宗のバイブルともいえる正法眼蔵を

お話ししておくべきだと思うんです。

 
道宣
はぁ。

 

じゃぁ「現成公案」にでもします?

有名だし。

 
遊心
いえ、正法眼蔵の内容についての素晴らしい解説は

本やインターネットに既にたくさんありますからしません。

 

われわれがやるべきは、むしろ内容より重要な

正法眼蔵の読み方だとおもうんです。

 
道宣
あぁ、そういうことか…

 

たしかに、それは重要ですね。

 

正法眼蔵は読み方間違えると

完全にドツボにはまるからね。

 
遊心
そうです。

 

道元禅師も忌み嫌った“言葉遊び”を延々とさせられることになります。

 
道宣
それは間違いありません。

 

普通に哲学書を読むようなやり方で

読み解こうとしてもたぶん無理です。

 

正法眼蔵の魅力

 

 

遊心
禅僧が「正法眼蔵」についてしゃべる時って

 

大抵の場合

 

“道元禅師ことば”マニア

 

になってしまうことが多いです。

 
道宣
(…そうかも)
 
遊心
道元禅師最大の才能は、その「言語」ですから

簡単に言うとかっこいいんです。

 
道宣
そうですね。

 

いちいちの言い回しとかが抜群にかっこいい。

 
遊心
本人も

 

「俺の書いた言葉ってなぜか

全部かっこよくなっちゃうんだよね~。

あ、でも言葉にこだわるの

修行としてよくないからダメだよ?

いやぁ~まいったなぁ~。」

 

って言ってますしね。

 
道宣
その現代語訳大丈夫?

 

だいぶ意訳すれば間違ってないけど……。

 
遊心
いえ、私の中では道元禅師はこのキャラで固定されているので。

しかし、自他ともに認める、そのとんでもない言語力をいかして、

修行における要点

つまり悟りの何たるかを言葉で表したものが「正法眼蔵」です。

 
道宣
そうですね。

書名にもなっている、「正法眼蔵」って言うのが、

簡単に言うと “真実を照らす悟りの心” の事ですからね。

道元禅師ファンクラブNo.0

 

遊心
はい。

 

さらに、愛すべき祖師として

道元禅師の弟子である懐奘(えじょう)禅師がいます。

 
道宣
はい。

 

大本山永平寺の二祖さんとして、われわれにもなじみ深いですね。

 
遊心
この懐奘禅師が

史上初の“道元禅師ことば”マニアです。

 
道宣
それはまちがいないでしょう(笑)

 

道元禅師の最初にして最大のファンですからね。

 
遊心
正法眼蔵についても「随聞記」と称して

ファンブックを書いてます。

 

もしかしたら「正法眼蔵」自体よりも

現代では読まれているかもしれませんね。

 
道宣
正法眼蔵の一番最後にも

懐奘禅師の熱烈な愛が記されてます。

 

紹介しましょう。

 
遊心

では私が厳密に直訳します。

 

「この本が道元禅師の最後の作品になっちゃった…。

病気中に書いてた原稿…途中で死んじゃうなんて……。

百巻の予定が完成させずに死んじゃうなんてそんなのひどいよ・・・!」

 

こんな感じで?

 
道宣
……。

 

いや、まぁそうだね

なんかかわいい女の子見えるけど

その続きの原文

「若し、先師を恋慕し奉らん人は必ず此の巻を書して之を護持すべし。
此れは釈尊最後の教敕にして、且つ、先師最後の遺教也」

だからね?ごりごりのおっさんしか見えないよ?

 
遊心
「もし師匠のこと好きなんだったら

ぜぇ~ったい書き写してずっとずっともってなきゃダメだよ!

だってこれがお釈迦さんの最後のおしえだし…

師匠の…最後の……教えなんだから…(;_;)」

ってことですね?

 
道宣
か、かわいい…。
 
遊心
好きな方にはたまらない題材でしょうね

仏教界にはこの手の薄い本ネタ多いです。

 
道宣
※全員スキンヘッドのおっさんです

 

正法眼蔵は“哲学書”ではない!?

 

遊心
正法眼蔵というと、禅について勉強してる人は

禅仏教のマニュアル書

のようなイメージで頑張って読もうとする人が多いと思います。

 
道宣
はい。

 

じっさい正法眼蔵の引用なんかは修行中たくさん触れますね。

 
遊心
具体的に僧堂修行を教える

かおの洗い方

から 

おしりのふき方

に至るまで

神経質すぎるほど丁寧に書いてある巻もあります。

 
道宣
「十本指のつめをきりなさい。

十本といったら左右両手の爪です。

もちろん足もです。同じように切りなさい。

お経にも爪が長くなると罪になると書いてあります。

ですから爪をのばしてはいけません。

爪が長いことは外道のはじまりです。

とにかく爪を切りなさい。」

 

って感じですよね?(笑)

 
遊心
こんなしつこく言われると思春期だったらグレます

 

ただ、その細かすぎるマニュアルの他に

修行と悟りについて道元禅師独特の文体で語った巻がたくさんあります。

 
道宣
正法眼蔵で人気があるのは、どちらかといえば

そのような哲学的内容が読み取れる難しい巻ですよね?

 
遊心
そうですね。

 

「日本最大の哲学書!」とか、よく売り文句で聞きますから。

 

道宣さんがはじめに挙げた巻などもその一部です。

 
道宣
ハイデッガーやデリダ、フッサールなんか対比で語られてると

哲学好きには気になりますからね!

 
遊心
まぁ、しかし待ってください。

 

そのように正法眼蔵を “哲学的に” 読み解こうとするのは

ハッキリ言っていばらの道です。

 
道宣
それは否めません。

 

西洋哲学書のように論理をたどって読み進める形では

正法眼蔵の読み方としては難しいかもしれないです。

 
遊心
わたしは単純に不可能だとおもいますけどね。

 

なにより仮に「日本最大の哲学書」が間違いでないにせよ

そのみんなが思い浮かべる「哲学書」って

ふつうお尻のふき方とか解説されてませんよね?

 
道宣
それは…もちろん。
 
遊心
正法眼蔵を読む際に一番重要なのはこの部分です。

 

正法眼蔵はあくまで

仏教の実践を表している書物

なんです。

 
道宣
うん。

澤木老師の

「一切経は坐禅の注釈である」ってことば

本当に正法眼蔵もそのとおりの書物だと思います。

 
遊心
そのとおりです!

 

実践に照らし合わせて読まねばならぬ書物である

ということを、しっかり意識しまくって読まなければ、

読み解くことはおろか、

読み進めるのも不可能だと思います。

 
道宣
単純な論理構造で言うと、

「道元禅師ことば」はぶっ飛びまくってるからね。

 

もともと論理的理解を狙った書物ではないですね。

 
遊心
はい。

 

現代人の哲学好きが正法眼蔵を読もうとすると

必ず論理的構造を探すのですが

それは正法眼蔵を

「哲学書」だと思うからいけないと思うんです。

 
道宣
「哲学書」と言われれば哲学的内容があるので間違っていませんが

 

「論理的書物」という意味ではちがいますね。

 
遊心
むしろどちらかといえば

 

「詩集」

 

です。哲学的なポエムとおもって読むのが正しいと思います。

 
道宣
道元禅師自身も詩作好きですからね。

 

本人はやっちゃダメとか言ってるのに。

 
遊心
道元禅師はちょっとそこらへん、

 

かまってちゃん気質ありますから…。

 
道宣
しかしそのおかげで、たくさんの作品が

現代のわれわれも読めるように残っているのですからね。

 
遊心
ありがたいことです。

 

実際、修行中に読むと毛穴がぶわっと開いて

鳥肌立ちまくるほどかっこいい

こころにガツンと来る文章のオンパレードですからね。

 
道宣
初めのころの血気盛んな若々しい文章も

晩年の、人に伝えることをさらに意識している文章も

いずれも魅力的なのは間違いありません。

 
遊心
個人的には、道元禅師は

人が詩を読むときの内容の伝わり方と

同じ形で仏法を伝えることをねらっていたのではないか

と思っています。

 
道宣
遊心さん意外と繊細なところあるからね。

 

そういう面での相性はいいかもしれない。

僕の場合はやっぱり、その哲学性も魅力ですけどね。

 
遊心
その哲学性ふくめ、正法眼蔵の魅力は

 

腹が立つほどカッコいい!

 

がすべてではないでしょうか。

そのカッコよさを理解するためには修行の実践が必要不可欠

ということです。

 
道宣
“道元禅師が何をいいたいのか”って

じっさい修行せずに正法眼蔵を見てるだけでは

本当に見当違いの読み方をしてしまいますからね。

 

まずはそのカッコよさを“味わう”というのは

遊心さんが言ったように初めの読み方として、とても良いと思います。

 

 

まとめ

  • 道元禅師はクラスにいたらめんどくさいやつだった
  • 懐奘禅師は道元禅師がだいすき
  • くやしいけどカッコいい!








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